★puppetmouth’s blog★

清水エスパルスに関しての雑感。基本応援スタンス。遠方なので情報難民。素人なのでまったり更新。

雑感。

最近はあまりエスパルス関係の意見やブログを目にできていないのですが、試合は全試合見ているので、そこからの個人的雑感をまとめていきたいと思います。

総合的にヨンソンエスパルスを見て、その特徴と、シーズンが進んだことによる変化をまとめてみたいと思います。

 

まずはポジティブな面からです。

 

①守備の球際への意識

小林監督時代から、4-4-2でしっかりラインを敷いていいポジションを取って守る、FWがボランチをけん制するなど全員で守る、ということはやっていたと思います。反面、パスコースは消せているものの、相手のボールホルダーへ距離を詰めず「見てしまう」という現象が多いのが気になっていました。

ヨンソン体制になって、より明確に「奪いに行く」「しつこく寄せる」というのが形になったと思います。現在のスタメンでは、FWが時間帯によってちょっと抜くぐらいで、基本的に守備をサボる選手はいません。

その結果として、相手が簡単に中央を割ってくるというシーンが減ったと思います。プレッシャーがかかっているため、いいパスを出しにくいのではないでしょうか。相手からすると、より速くパスを回す必要があると思います。

一方で、これを実現するためには、まずハードワークが必要です。例えば相手が片方のサイドに寄るならこちらもそれに合わせてスライドしなければいけませんし、相手が局所に選手を集めてきたら、こちらもそれに合わせてマークにつかないといけません。その点、金子、石毛/デューク、河井、白崎が特に運動量を要求されると思いますが、この4人は運動量という面でキャラクターを発揮できています。

さらにもう1つは、チャレンジ&カバーの関係です。特に最終ラインで顕著なのは、フレイレや立田がチャレンジに行った時にソッコがそのカバーをするというバランスです。また、金子や石毛は当初のディフェンス意図が外されても当然のように二度追いします。その際のSBとの関係も徐々に慣れてきているように思います。

相手に寄せるということは当然背後や脇にスペースを抱えることになりますが、基本的にはそれをカバーするということもできています。

 

加えて、前からのプレスが連動できているというのも挙げておきたいと思います。よく中継の解説の方が「もっと前から激しくディフェンスを」的な発言をするのを見ますが、私は個人的に前からのプレスに対してあまりいい印象を持っていませんでした。というのも、特にエスパルスに関して、失点したときに少し巻き戻して見てみると、こちらの前からのプレスを外されていたことが非常に多いと感じていたからです。

前からのプレスが失敗するポイントとして、

1:ある選手は前から行くが、他の選手が連動していないので、空いている選手にパスを出されてプレスの意味がない(ウタカやチアゴアウベスが劣勢時よくやっていたやつですね…)

2:前から行ったところをかわされると、逆に後ろにスペースを作ってしまう

ということがあると思います。逆に言うと、そういったデメリットを極力出さず、前からのプレスを成功させるためのキーワードは「タイミング」だと思います。その点今のエスパルスは、変な言い方ですが、しっかり前からのプレスが前からのプレスになっているシーンが増えたと思います。

 

②守備時の高さ

これはメンバー構成が大きいです。フレイレ、立田、クリスランを中心に、守備面で高さを以前より強みにできています。最近は、さらにドウグラスと白崎も良さを出しています。

フレイレに関しては、ゴールキックや相手のフィードが中央に来た場合の競り合いでまず負けないという安心感があります。立田は相手に狙われることが多かったのですが、サイドチェンジのボールを読んで頭で弾きかえすという場面が目立ちますし、中央に入ってCB的なクロス対応をする場面でも本職SBより圧倒的に強いです。クリスラン・ドウグラスの両者は、相手コーナーキックでのストーン役として非常に効いています。白崎に関しては、例えば前半の鳥栖戦、中央のロブで小野に競り負ける場面が目立ちましたが、彼がボランチに入ってからそういったボールで負けないという安心感が加わりました。

 

③ビルドアップ時にすぐ蹴り出さない

これは、シーズンが進んでから徐々に感じるようになってきた部分です。今までのチームは、メンタル的に優位な状況(2点差でリード)に限ってはいいプレイができるものの、相手にプレッシャーをかけられたりするとすぐにクリアでボールを相手に渡し、常に後手に回っているような感覚がありました。または、完全にボールを捨てるわけではなくても、今シーズン開幕時だとクリスラン、昨シーズンだとテセなど、前線のターゲットに蹴ってそこで起点を作るというプレイ選択が多かった印象があります。前線の選手の強さ頼みという面があったと思います。

今のチームは、相手にプレッシャーをかけられても簡単に蹴って捨てず、ギリギリまでフリーの味方を探してつないだり、一旦切り返して時間を作ったりというシーンが明らかに増えました。また、ボールを受ける方も簡単に相手に隠れずに動いてもらうという意識がかなり徹底されてきていると感じます。さらに、パスの時余計な力を入れないで、普通の力で落ち着いて普通につなぐ、という感覚もあるように思います。

筆者はゴトビ時代から全試合観戦するようになりましたが、短くつなぐビルドアップがJ1の平均レベル以上だった時期は正直ほとんど記憶にありません。常にカウンターかロングボール中心の戦いだったと思います。そういった意味では今の戦い方には非常に好感が持てます。

前線の崩しでも、クロスやカウンターだけではなく、セレッソ戦で白崎が飛び出すデュークにスルーパスを出して中央で北川が決めたシーンや、浦和戦で北川のワンタッチパスを金子に通したシーンなど、アイディアが結果に結びつくようになってきています。

 

ドウグラスの補強効果

おそらく多くのエスパルスサポーターが感じているのと同様に、私もドウグラスは最高の選手だと思います。高い、強い、早い、守備をする、決定力がある、と全て持っている選手ですね。

その中で2つ指摘したいです。

まず第一に、前線でのコンビプレイ(ワンツーやスルーパス等)の質が上がったことです。通常、FWはシュートが上手い選手であってもパスが上手いとは限らないと思っています。そもそも前線は相手のプレッシャーが激しくスペースがない分、パスを通すのが難しいのは当たり前でしょう。例えば、ノヴァコビッチも、大前も、テセも、みな特別なものを持った選手たちだと思いますが、前線における細かいパスの成功率は決して高くなかった印象があります。しかし、ドウグラスはそのパスの精度が高いと見ていて感じるのです。このあたりは、技術に加えて経験と性格的なものが大きいように思います。まだはっきりとした結果に結実していませんが、この辺りはこれからのシーズンでも非常に楽しみなポイントです。

第二に、選手間の競争意識が上がったことです。クリスランは当然ゴールという結果を意識するでしょう。また強化部にそういった意図はなかったかもしれませんが、クリスラン以外の外国人選手たちも枠の関係でポジションが安泰ではない可能性があり、刺激になるのではないかと思います。

 

⑤ベテランの精神的支え

この点は直接記事やコメントで見たわけではありませんので、特に私の妄想度合いが高いです。しかし、今シーズン在籍しているベテランたち、中でも兵働、西部、角田あたりは、チームの雰囲気を作るのに非常に貢献しているように思われます。例えばゴールが決まった時に皆で喜ぶシーン。自分たちはスタメンで出られているわけではないのに、スコアラーに笑顔で近寄り祝福する彼らの姿は本当に頭が下がります。もちろん、彼らは戦力としても貢献できており、スタメンではありませんが、サブとしてチームの力を保つ貴重な選手たちです。

エスパルスに限らず、ベテランの扱いというのは難しいと思います。年俸が高い一方、選手としての力が衰えていく場合も多いと思います。では戦力面だけ考えてベテランをどんどん切って若手を重用すればいいかというと、必ずしもそうとは言えないと思います。ベテランがいないと流れが悪い時にそれを押し戻せなかったり、ベテラン選手との別れ方を失敗すると他の選手からもチームへの求心力を失ったり、ということがあると思います。特に降格前後は、プレッシャーが特定の選手に集中するかのような印象もあったので、一際上記のようなことを感じてしまいます。いずれ、世代交代とベテランへの評価のバランスを図ることは強化部の仕事の中でも最も大切なことの1つだと思います。

※筆者はJ2を観るのが大好きなのですが、上手くいっていないチームは、前年度末の編成でチームに貢献(選手としてだけではなく、雰囲気作りという役割含む)していたベテランを切ったことが不振の遠因になった、というケースは実は割と多いのではないかと感じています。

 

次にネガティブな面を挙げたいと思います。

 

①スタメン固定化の弊害、特に疲労管理

中断前に長崎や鳥栖に勝てなかったのは、第一に相手がこちらをよく分析し、それぞれチームの良さを発揮するような戦い方を選択したということもあると思います。ただ、こちらの選手の連戦による疲労度合いをコーチ陣が上手く予想・評価できなかったという印象も正直あります。もう少しうまく選手を入れ替えて戦うことで、チーム全体のパフォーマンスは上げられたのではないかと思っています。

ヨンソンサッカーはハードワーク前提なので、そういった意味でもコンディションは大切だと思います。

(もっとも、今の夏場&連戦シーズンを過ぎてしまうとターンオーバーの重要性も薄れるかとは思いますが…)

そもそもヨンソンはスタメンをそれほど入れ替えないので、スタメンとサブのレベル差が開くといういう現象が起こりやすいと思います。疲労考慮のターンオーバーをうまく使えない理由の1つとして、スタメンとサブのレベル差があるため交代しづらい、という点もあるかもしれません。これは試合内の選手交代でも若干感じます。六平や鎌田のケガという事情もありますが、現状を見るとサブ組にはもっとスタメンを脅かすような活躍を期待したいです。特に前線の選手たちには。ドウグラスの加入により、いい意味で競争が激しくなるということもあるかもしれません。

 

②セットプレイの得点の少なさ

セットプレイはキッカーの占める割合が大きいからキッカーが問題だ、という点については、よく言われていることでもありますしここでは割愛して、逆の側から書いてみます。

このブログでも何度も指摘していますが、やはり現メンバーはヘディングが得意な選手が少ないと思います。昨シーズンに比べると頭得意のフレイレがスタメンに入ったことで芯は通りましたが、平均身長が上がった割には、得点が上がっていません。クリスラン、北川、ソッコ、松原、白崎と、ポジションや身長からヘディングが得意そうな選手たちも、実際見ていると苦手ではないにしろそこまで得意なようには見えません。(個人的に身長の高さとヘッドの上手さはそこまで関係がないと思っています。)これは角田や二見も同様です。

守備の時には効いている高さという要素ですが、攻撃時のセットプレイではヘディングは枠を狙って飛ばさないといけないので、より難しい面があるのかもしれません。チームで狙いを合わせるなり工夫するなりして結果につなげてほしいですね。

なお、浦和戦で決めたドウグラスは明らかにヘッドは強いので、今後は今より期待できるのではないかと思っています。

 

③他チームのレベルアップ

J1のレベルが上がっているかについては色々な議論があると思いますが、私の意見としては今シーズンのリーグ平均レベルは過去最高だと思っています。以前のエントリで述べた通り「弱い」チームが圧倒的に少ない印象です。

チームというのは、いい戦いをしていても結果が出ないと歯車が狂ってしまうものだと思います。今季の柏レイソルは、序盤とてもいいサッカーをしていましたが、清水戦やその後の数試合で結果が出ず、のちの監督退任と更なる不振につながりました。中断期間で下位のチームも補強をして、ますます戦力の差が縮まっているため、いい戦いをしても結果が出ないということが続くとチームの精神的基盤がダメージを受けると思います。

勝ちなしが続いている今の清水は正念場だと思います。運も含めて流れを味方につけてほしいです。

 

④ゲームコントロール

浦和戦では、ゲームのコントロールがうまくいかずに、相手にチャンスを与えた面があったと思います。最近のシーズンではテセがこういった役割をしていたと思いますが、現チームの中では最もオフェンス面でのコントロールをしているのが河井なので、彼にはよりチームメートに積極的に指示を出すなど、そういった役割を期待したいと勝手に思っています。

また、今のチームはミドルシュートが少ないと思っていて、もちろん確率の高い攻撃をできればそれでいいんですが、今後相手が引くような状況がより出てくるのであれば状況によってもっと狙って行っても良いと思います。

 

以上です。

ヨンソン監督はある意味でシンプルというか、やりたいことがはっきりしていて、チームの長所短所も素直に見ているというイメージがあり、課題解決の優先順位も間違いが少ないのではないかと感じています。また、ゲームの映像を見ている限りでは篠田コーチ含むコーチ陣の役割も大きいと思います。

下位まで差がないので予断を許さない状況ですが、今のチームは1人1人のキャラクターがしっかりチームにまとまっていて、見ていて非常に面白いので応援しがいがあります。早く残留を決めて、来シーズンに向けてさらに伸びてほしいと思います。