J2第16節 vs水戸ホーリーホック
エスパルスはこの試合、3つの相手と戦わされていました。
⬛︎風
現地にいましたがとにかく風は強かったです。高いボールだけでなく低いボールも軌道が変わっていたので、正直かなりやり辛かったと思います。
風を言い訳にしてはいけない、味方にしないといけない。まあそうなんですが、もともと高さや強さを持っている選手たちと言えるかというと私はそうは思いません。清水は精度で勝負するチーム、水戸は要所で高さを持っているチームなので、風は相手のペースになる原因だったのは間違いないのではないでしょうか。実際出た瞬間は「いいパス!」って思っても途中で曲がって受け手がスピードダウンしたりしてました。受け手も風を考えながら受けることを余儀なくされるので、どうしても次のプレーにスムーズに移行しづらかったと思います。
プレースピードが遅れるとボディコンタクトが増え、当たりに弱い選手には不利になります。
⬛︎芝
深かったんでしょう。出た瞬間は「いいパス!」って思っても途中で減速してました。
⬛︎審判
ひどい審判だとは思いませんでした。エスパルスが得をしたところも損をしたところもあったと思います。ただハンドの判定など若干選手側に不信感があったように思います。
前半の本間がテセを倒したシーンはカード相当だと思いますし、後半本間が飛び出して元紀がかわそうとしたシーンはハンドだったと思います。両チームともバックパスキャッチも普通に流されてましたし…。
⬛︎水戸
4-4-2で、攻撃時は石神が降りる形。正直ビルドアップはかなりミスが多くそれほど脅威には感じませんでした。
しかし、特に輝いていたのが最前線の三島。アバウトに送っても競り合いで勝っていて、空中戦はメチャクチャ強かったです。決定的なシュートがあったわけではないのですが、心理面で試合の基調を作ったと思います。その意味で誰か一人と言うなら湯澤と迷うものの三島がMOMだと思います。
サイドで若干強引でも1対1を仕掛けファウルやCKを誘うシーンもかなり目立っていて効果的でした。たぶんドリブラーに風はあまり関係ないので、湯澤、田向あたりは特徴を出せたと言えるのではないでしょうか。プレイ選択を見ているとセットプレイに自信を持っているんだなというのがよくわかりました。
(相手が水戸で角田も抜けているとセットプレイは恐怖しかなかった…。)
その他特筆すべきは、CBに高い位置からプレスをかけていたこと(ラインを高くするというプランだったようです)と、大前が高い位置で持った時にできるだけサポートをつけるよう意識していたと思われることでしょうか。(もちろん村田もです。)
もっとも、それほど特別なことをしてきたとは思いませんでしたが…。
なお、予習はしていたものの駐車場出るときの混雑は流石の衝撃でした(笑)アウェイサポもですが毎試合通うサポさんたちが大変でしょうね。改善されることを願っています。
⬛︎エスパルスはなぜ輝けなかったのか(前半)
相手のパス精度が高くなかったこともあって、結構な回数前節同様にいい位置で奪うところまではできていました。
しかし、その後のパスが(狙いは悪くないものの)風や芝でズレてテンポが止まったり攻撃が寸断される、という展開が多かったです。
結局、かなりミスパスのプレゼントをもらっていたのですが、効果的に活かせませんでした。
⬛︎エスパルスはなぜ輝けなかったのか(後半)
よくなかった一番の原因は、CBが蹴ったボールをそのままマイボールにできなかったということだと思います。
まず、相手のプレッシャーを受けて低い位置でクリアというのが多かったので、セカンドボールを拾えなかったです。(キツかったらサイドにクリアしてもいいと思うんですけどね。)
また、そこまでプレッシャーがかかっていなくてもCBが縦に早くというのを意識しすぎて、マイボールの時間が短く攻めが単調になってしまいました。
そのため内容はむしろ前半の方が良かったと思います。
特に最後の10分ぐらいは、選手たちも焦ったと思われ、攻撃が縦と中に集まりすぎて、相手の密集に入れるだけだったり縦に抜けてしまったりあまり効果的な攻撃ができませんでした。
⬛︎ではどうすればよかったのか
まず第一のポイントはSBの攻撃参加でしょう。
一番に考えられるのは、ビルドアップの時に横の幅、特にSBをもっと関与させるということです。(ただ、この試合は風や相手などを考えた上でリスク排除を優先したと思うので、それを悪かったと断定できるかは難しいですが。)
そうすれば2SHやボランチをもっと攻撃に関与させることができたと思います。
この試合では両SBのスタート位置が低かったと思います。その原因として、ビルドアップ時にいつもであれば本田が下りてその分SBを上げるのですが、この試合ではボランチをはっきり下ろすという感じではありませんでした。その分リスク管理で残るSBは低い位置からのスタートでした。ただ前線であまりタメが作れなかったので、SBの上がるタイミングが難しかったと思います。結果として後ろに重い感じになりました。良し悪しはありますが竹内を下げるというのも一つのやり方だったと思います。
また、相手が2人前から来ているので、基本的にCBが1つ前のボランチに出すのは簡単でない立ち位置になっていました。
そうすると、どうしても一旦SBに預けるか、前に長いボールや楔を狙うかになるのですが、前者があまりなかったので、穴を空ける意味でも相手を広げ走らせる意味でももう少しサイドを使って組み立てるのも一つの手だったと思います。
(余談ながら、松原は結構攻め上がってボールを受けていて、個人のパフォーマンスは悪くなかったと思います。)
第二に、セカンドボールを狙う意識です。後ろから長いボールを出すのであれば、簡単に競り勝てることはそう多くないので、ボールがこぼれそうなところに選手がいないとロストする確率が高くなります。そのあたりで全体の意識の統一が見られるといいと感じました。前述の通り後ろに6人が残る感じだったので、セカンドボールを収めるのが難しかったです。
なお、解説の鈴木さんがラインが低いということを盛んに指摘していました。
個人的には、解説全体が若干結果論印象論という感じだったので(「水戸は頑張っているが清水は全然走っていない」とか)若干胡散臭い感じで聞いていました(失礼!)。
ただ一つ注文をつけるとすると、マイボールの時にもう少し前後の幅を狭くして欲しいというのはありました。守備時の基本的なライン設定が悪かったというよりは、トランジション時などのこまめなラインの上げ下げ(ライン修正)が欠けていたのではないかと感じました。
テセは地上戦でのポストは効果的なプレーができるのですが、空中戦はそこまで圧勝できるわけではありません。そのあたりの力関係や試合の流れを考えてプレーできるといいですね。
また、フィードがラインを割ってしまうシーンも複数あったので、ボールの回転やまっすぐ蹴るのではなく角度をつけるなどの工夫ももっと見られればと思いました。(出し手からすると「出せる」と思ったタイミングで出していると思うので仕方ないところもありますが。)
村田があまり効いていなかったので、特に昨日はあのポジションでボールを持てて落ちつけられる選手がいればとも思いました。
(それを期待されての枝村だったと想像しますが、効果的なプレイは出せず…。昨日のやり方ならテセを残して大前をサイドに動かしても良かったかもしれません。)
まあ所詮素人の戯言ではありますが…。
⬛︎選手評価
ダブルボランチ:守備でズルズル下がるシーンは気になりましたが、攻撃は良かったと思います。あの戦い方で彼らに責任を負わせるのは酷ではないでしょうか。
杉山:コーナーで飛び出して触れないのはなんとか改善して欲しいですね。ここも明らかに風の影響はあり、本間も同じようなシーンはあったので難しかったのとは推測しますが。
川口:この試合では守備はなんとか頑張って穴を開けないようにしていました。ただ攻撃ではほぼ死んでいたのでチームとして使い方を考えて欲しいところ。
⬛︎監督について
おそらくCBからシンプルに出そうというのは監督の指示もあったと思うのですが、結果的にはそれを選手が真面目にやりすぎたため(またはそれ以外をやる余裕が選手になかったため)裏目に出た感はありました。
どちらかというと選手が状況を見てプレイのバリエーションを出してほしいと思うんですけどね。
また後半はミドルをいくらか狙うという意識付けもあっても良かったかもしれませんね。
ただセットプレイ以外はそこまでピンチを作られたわけでもなく、結果的に無失点で終えることができました。
監督インタビューでは状況を的確に分析していたので、それを選手間でも共有して次に向かってくれることを期待します。
⬛︎最後に
現地観戦した試合としては「風強!」って感じで両チーム低調なパフォーマンスだったのである意味観戦するには最悪の内容でした。競り合いに強い角田の不在も痛かったですね。
ただ流れの中からの崩しの精度は負けていなかったと感じられましたし、コンディションを考えるとリスクを避けてアウェイで勝ち点1を取るというのはそれほど悪い選択ではないとも思います。
もちろんこういった相手に環境を言い訳に勝てないのではJ1なんて遠い、と言う意見も十分よくわかります。ただ私としては、大事なのは全否定するのではなく良かったところを残して悪かったところを修正することだと思うので、選手スタッフにはそれを期待します。
こういう試合がずっと続くわけではないので、ぶれずにさっさと切り替えて今まで通り次の試合も頑張って欲しいです。